簡単に痩せるからと、巷では糖質制限ダイエットや炭水化物ダイエット・一日一食ダイエットなどがブームです。
「糖質ゼロ」や「糖質オフ」などの飲料・食品は当たり前のように相次いで出され、飲食店も続々と低糖質メニューで競争しています。もはや単なるブームを超えて、当たり前になってる気もしますが・・。
著しいダイエット効果があると聞くと、夏に向けてとにかく何でもいいからダイエットをしようという人も多いことでしょう。
でも、食べ物の制限をするということは、身体には問題ないのか?できない人もいるのではないか?など、気になることをまとめてみました。
糖質制限とは?
糖質制限とは、炭水化物などの糖質が含まれている食べ物を極力減らしてダイエットする方法です。
「糖質」さえ制限すれば、他は何をどれだけ食べても構わないという方法です。
炭水化物を摂らない代わりに、タンパク質や脂質はどんどん食べてOKという、ハッキリ言って、基本ルールの説明すら必要ないほど、日本人には浸透していますよね。
「肉や魚ならたくさん食べてもいい」と言われると聞こえもよく、きちんと取り組めば短期間で結果が出るので、痩せたい人にとっては実践しやすいダイエット法です。
この糖質制限は、アメリカ人医師のロバート・アトキンス博士が考案した炭水化物の摂取を制限する「アトキンスダイエット」がルーツとされています。
炭水化物の摂取量を50g以下まで減らす代わりに、肉類はいくら食べてもいい・最初の2週間は野菜も制限という、肉好きのアメリカ人にとっては嬉しいことで、1970年代にアメリカで大ブレイクし2013年にも再ブレイクしたダイエット法
日本では、糖尿病患者のための治療として糖質制限が紹介されました。糖質を極力摂取しないという簡単な方法です。
一日一食ダイエット
一日一食ダイエットとは、乳腺外科医の南雲吉則医師が提唱し脚光を浴びました。
その理由としては、痩せるだけではなく、アンチエイジングの効果もあるということです。
実際に南雲医師は年齢よりずっと若々しい見た目をしています。
この方法は夕食だけを自由に食べ、他は食事をしないという方法です。
一日一食なので体は当然飢餓状態になります。摂取カロリーが消費カロリーを下回るので体重は減ります。
さらにそのような状態を続けることで、体の中では「なんとかして生きよう」という力が働き、活性化されたタンパク質により若さが取り戻されるという理論です。
医師も賛否両論?
糖質は身体や脳の大切なエネルギー源ですが、摂りすぎると肥満や成人病のもとになります。
この糖質を極力食べずに「タンパク質や脂質はしっかり摂りましょう」ということなのですが、糖質という大切なエネルギーがなくなると、必然的に他の栄養素(脂質など)から補うようになります。
他の栄養素は制限なく食べていいと唱っていますが・・。
賛否両論の意見がかなり多いですよね。
極端な例ですと
糖質制限食では糖質が多い物は極力少な目にという栄養士の指導があり、ある意味、偏った食事ではないかと感じている。
と、このような意見も多く、実際に専門知識のある人・医師や栄養士にこの食事は避けた方がいいと言われるものはかなりの種類になります。
糖質といえば甘い砂糖を思い浮かべがちですが、糖質がある食べ物はご飯やパン・麺類・トウモロコシといった炭水化物もほとんど食べないという感じになります。
また主食以外にも糖質の多い食材があります。だから主食以外にも気をつけなければならないのです。
糖質の多い食材
穀類以外で非常に糖質が多いのが、芋類です。「さつま芋・じゃが芋・里芋・長芋」などイモと名のつくものやイモ類・穀物が原料の「くず粉(くずきり、春雨)・片栗粉・コーンスターチ・小麦粉」など、でんぷんを含んでいるものは避けなければなりません。
また野菜もです。糖質の多い野菜では、「かぼちゃ・れんこん・ごぼう・人参」など根菜類はでんぷんが多いので注意。
その他にも、甘みのある物「玉ねぎ・赤ピーマン・黄ピーマン」などにも糖質は多く含まれているので注意。
果物全般も糖質が多いので「みかん・バナナ・りんご・キウイ」などのほとんどが注意。
調味料は「ルーやソース・ケチャップ・味噌・ドレッシング」も糖質が多いので注意。
このようにみると確かに、偏りが見られますよね。しかも、味噌まで入るとは「日本人なのに?」と思ってしまいます。
このように、「糖質は太る元」と糖質制限をかけると、食べていいものは極端に限られて、栄養が偏り、痩せたとしても違う病気になってしまう恐れは十分ありそうな気がします。
そこで、食事制限の種類は違うにしても、
「体重がおもしろいほど落ちた」
「簡単に痩せられた」
などの声がネット上では散見され、それに一日一食ダイエットに関しては医師が提唱者で、有名芸能人も実践している人がいるため「体に悪いわけがない」と思っている方も多いようです。
しかし、本当に安全な方法なのでしょうか?
成功したと反対に、失敗してしまった人の声も多数ありました。
その多くが
「栄養失調による健康被害がでた」
「食事をすることに対しての罪悪感から起こる摂食障害になった」
というような声も多く挙げています。
また食事制限ダイエットを行う方の中には、「隠れメタボ」が潜んでいる可能性もあります。
隠れメタボとは運動をせず、食事制限のみで体重を減らすことで全身の筋肉が減り、基礎代謝が低下するため、腹囲や体重は基準値内であっても中性脂肪が高い状態のことを指します。
糖質制限は誰にでもおすすめなの?
医師が提唱したことで、糖質制限が今や糖質ダイエットとして定着し、誰でも簡単にできるダイエット法として知らない人はいないくらいです。
糖質制限ダイエットをすると、肥満の人は速やかに体重が減り始め、半年から1年くらいで理想体重になります。
ですが、これはあくまでも
糖尿病ということや、肥満ということが大前提です。
普通体重の人ほど、合わない制限法ということになります。
基本的に糖質制限は、
「どういうタイプの人が有効なのかを把握して、医師のもとで行う食事療法」になります。
スポーツトレーナーなど、身体を理解しそれを専門とする人たちは、効果を出すためにいろんな取り組み方をするので、そのような人達の元で行えば効果はあるでしょう。
ただ何もわからずに制限だけををかけるということは身体機能を低下させます。
このようなことからも、にわか知識で糖質制限ダイエットを行なうことに警鐘を鳴らす医師も多くなっています。
糖質ダイエットができる人
糖質ダイエットは、
・糖尿病などの生活習慣病がある人
・肥満もしくは標準を上回る体重の人
・医師やトレーナーのもとで行える人
・知識がある人で短期的な実施で行える人
と、このような人ができるダイエット方法です。
糖質制限はリスクもある
糖質制限は医師がテレビなどで紹介するので「リスクなくやれそう」「医師の言うことなら間違いない」と思いたいですが、人間に必要な栄養素を断つということは何かしらのリスクは伴います。
糖質制限をしていると、エネルギーとなる糖質が不足するため、身体は筋肉にあるタンパク質を分解してエネルギーに変えようとします。そこでタンパク質が少ないと、必然的に筋肉量が少なくなってしまいます。
筋肉量が減ってしまうと、基礎代謝(何もしなくても消費するエネルギー)も低下してしまうため、間違ったやり方をすると、逆に太りやすい身体になってしまうのです。
だから、タンパク質・脂質はたくさん摂っていいことになっていますが・・。
糖質をたくさん含んでいるという理由から、糖質がある野菜や果物を制限する一方で、肉やチーズ・バターなどの乳製品の制限などもなく、脂肪については摂ってよいとされています。
ですが、たんぱく質を沢山食べることができるか?というと意外と難しいでしょう。
それに、脂質は摂り過ぎると血液中に脂質が増え過ぎて、血管壁に脂質が分解されずに残りやすく、逆に肥満や高脂血症といった生活習慣病になってしまいます。
例えば、タンパク質ばっかり取り過ぎて腎機能障害を起こしたり、肉に含まれる動物性の脂質(飽和脂肪酸)は、中性脂肪や悪玉コレステロールを増加させる作用があり、血中に増え過ぎると動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞を招きかねないです。
このようなことからも、どの位の量ならとってもいいのか知識が必要ということになります。
糖質制限をおすすめできない人
このようなダイエット方法はどんなタイプの人でもできるのか?というと違います。
当然、何らかの疾患をお持ちで食事療法中の方は、このようなダイエットをすることは絶対禁止です。
若い女性
特に若い女性は要注意です。スタイルを気にしてモデル体型にあこがれる方も多いですが、きちんとしたモデルなどは専属トレーナーのもとで体を整え、しっかり管理されたうえでスタイル維持をしている人がほとんどです。
モデル体型にあこがれるがために、普通もしくは少し瘦せてるけど、二の腕を細くしたい・お腹が出ているなどの軽い気持ちで糖質制限をすると、生理が止まったり、便秘にもなりやすく・不妊の原因や体調不良になる人が多くいます。
受験生
受験勉強など集中しなくてはならい学生は成長期であることも前提ですが、糖質が不足すると、脳や神経の活動を阻害してイライラ感がつのり、倦怠感や無気力状態に陥ることになります。
受験勉強などやる気がなくなることに繋がります。
体を動かす人
運動する人や体力仕事の人は、エネルギーなどのパワーを必要とするスタミナが大切です。
糖質が少ないと効率よい代謝機能を果たせず、スタミナがなくなります。
また糖質は脂質で賄えるとはいえ、本来の糖質は燃焼スピードが速いため、エネルギーとしての即効性があります。
特に成長期では絶対禁止で高齢者も絶対危険です。
いきなり始めようとせず、自分にはどのくらいの糖質が必要かなど理解してから始めることが大切です。
正しい知識を身につけてから実践しましょう
例えば、栄養素の大切さを知ることは大切です。
糖質制限ダイエットは、食べる物を極端に制限し高たんぱくな食事をする方が多いですが、このダイエット方法は元は「糖尿病患者や重度の肥満患者のために考案された方法」なので、病院でその人に合った指導の元で行う方法です。
安易に、「糖質(炭水化物)を食べなければいい」と聞いただけのやり方をマネすると、身体を壊す恐れが多いのです。
糖質は体のエネルギーの源で、脳や神経系に大きな影響を及ぼす栄養素になります。日本人の1日の摂取エネルギー量は約60%前後を糖質で得ています。
その糖質が不足すると、脳や神経系の活動が鈍くなって、精神的にイライラすることが多くなり、倦怠感や無気力な状態になります。
また、運動をしようと思った時には、糖質が主要なエネルギーを発揮させるので、糖質が少ないと身体を動かすパワーがなくなってきます。
そのため、糖質の代わりにタンパク質をたくさん摂りましょうと言われているのです。
が、たんぱく質は、人体の栄養素として最も重要なもので内臓や骨・筋肉・皮膚・毛髪・爪と、人の機能で最も大切な栄養素の1つです。
そのタンパク質に「糖質の役目もしてもらおう」という考えで高タンパク質の摂取を続けると、内臓に負担がかかり腎肝機能が低下したり、血液がドロドロになって循環器疾患の原因にもなります。
また、思った以上にタンパク質も摂れないのに、糖質の代わりにタンパク質に頑張ってもらおうとすると、抜け毛や骨粗しょう症など見た目にも悪影響な状態になり、ひどくなると摂食障害も起こしかねません。
このように、わからないままに糖質制限をかけるという事は、「病気になる」というリスクが非常に高くなるという事です。
また、体をよく動かす仕事をしている方も安易に摂取カロリーを減らすことは危険です。
食事の回数
一日一食ダイエットも、確かにお腹が空いていないのに「絶対3食きちんと食べないといけない!」とは思いません。
ただ、「医師がおすすめしているから」といっても、どのような人がその方法に合うのか?何を食べればいいのか?など、注意することが必要です。
一日一食ダイエットは一応、男性は30歳以上・女性は50歳以上のメタボリックシンドロームの人に勧めているというダイエット法ですので、育ち盛りの方や若い方にはおすすめはしていないのです。
つまりこれらの食事制限ダイエットを成功させるには、自分はどのようなタイプなのかと把握して、栄養に関しての十分な知識を持つことが重要ということになります。
カロリー計算の方法や食事内容についてわからないことがある場合は、ジムのトレーナーや「肥満外来」のある病院など専門家に相談し、正しい知識を身につけてから実践するようにしましょう。
まとめ
太ることは、もはや悪のような感じで、ダイエットは永遠のテーマであり美学のように親しまれています。
食事を減らせば当然体重は減りますが、健康を維持出来る方法でなければ美しく痩せることはできません。
それに、過ぎは病人にもなります。脳は体重のたった2%しかありませんが、そのエネルギー消費量は20%にものぼります。
過度な糖質制限ダイエットで、取り返しがつかない病気になることもあります。
何事もバランスを考えた生活が一番でしょう。もし、糖質ダイエットをしたい場合は専門的な人からのアドバイスをもらうことや、知識が大切です。むやみにやらないように気を付けましょう。