仏壇やお墓にお参りをすることは故人の供養になり、年に何度かは足を運びますがその時、ロウソク・お線香・花、この3つは必ず持参します。なぜでしょう?
仏前の供養では、「香・灯・華」の三つが基本とされ、お線香やお焼香、ローソク、仏花が必要で、どれも意味があって重要なのです。そこで、なぜお墓参りにこの3つが必要なのかまとめてみました。
ロウソクを付けるのはなぜ?
仏壇にお参りすると、正座をしてロウソクに火を点してその火でお線香に・・と、お線香を焚くためにロウソクがあると思いがちですが、ロウソクにも意味があるのです。
ローソクの起源を調べてみると、最初は松明(たいまつ)から発展したものと言われ、古くは紀元前3世紀に存在し、エジプト人やギリシャ人に使用されていたといわれます。
日本でろうそくが最初に使用されたのは奈良時代で、仏教の伝来と共に伝わってきました。ローソクはもともと照明として使われていたのですが、どの宗教でも火は物を清め、罪を償い、そして悪魔を防ぐ意味があり、いつしか仏教でもなくてはならないものとなりました。
お仏壇・お墓のローソクは、灯明(とうみょう)とも呼ばれ、仏様にお供えする明かりを指します。お線香に火をつけるためではなく、私たちの煩悩(悩んだり苦しんだりする気持ち)の闇を照らして、私たちをきちんとした世界へと導くための智慧(道理の判断や筋道)を現しています。
お仏壇、お墓でローソクに火を点すことには
ローソクの明りは、ご先祖様と現世の私たちを結ぶ架け橋で、この明りを頼ってご先祖様は彼岸(ひがん)から此岸(しがん)にやって来るし、私たちが彼岸に行く時もまた明りに導かれる
要するに、ローソクの炎が故人に向けて「ここに私がいるよ」という目印となっているんですね。
ロウソクの静かな灯を見つめていると、心がどんどん澄んでいきませんか?
このようロウソクの役目を知ると、ロウソクの火でお線香を焚くのは申し訳ない気もしますね。
お線香をあげるのはなぜ?
インドなど東洋では昔から、香料は身や心を浄めるもの、神に捧げるためのものとして用いられてきたと言いわれます。
日本へ伝わって来たのは、インドから中国を経て、仏教と共に伝わった説や、淡路島にお香がたどり着き、島の人が朝廷に奉納した説などがあります。
仏教では、自らの心身を浄め、仏に香りを捧げることが、重要なことと考えられています。
仏教経典では、
「死後の人間が食べるのは匂いだけで、善行を積み重ねた死者は良い香りを食べる」
お線香は故人への供物としての役割があり、現在のどの宗教も「香りは神仏の食べ物」と言われています。
お線香の香りが仏様の食べ物と聞くと、お供えするものも、なるべく良い香りがするお線香がいいですよね。白檀や故人が好きだった香りなど、仏様を思いお線香を選んであげましょう。
※ロウソクや線香を消すときは、口で吹かずに手であおいで消します。
人間の口は、悪業を積みやすく、けがれやすいもので、仏様に供える火を消すには向かないということです。
お花を飾るのはなぜ?
花をお供えするのは、見た目も奇麗で豪華に見えるので、飾りとして見られますがお花にもお供えする意味があったのです。
お釈迦様がまだ前世で、修行していた時の事
燃灯仏(ねんとうぶつ)という名前の仏様にお会いし、是非ご供養してあげたいと思いましたが、この時は良いものが何もありませんでした。そこで、たまたま近くでお花を売っていた方の元へ行き、「青蓮華(しょうれんげ)」という名前のお花を買って、仏様をご供養しました。
この話が、仏様に花をお供えする始まりとされています。仏様に美しいものをお供えし、仏様をお飾りするという意味や、花は仏様の慈悲をあらわしているとも言われ、
自然界の厳しい環境に耐えて咲く姿と、厳しい修行に耐え忍ぶ仏教の教えとが重なり、精進する事の誓いとして花を活けるとされています。
仏花といえば菊の花を思いますが「蓮華」や「睡蓮」が仏教の花とされています。泥水の中から生まれても、泥に染まらず、心洗われる清らかさと美しさを失わずに、気高く咲き誇る姿が、仏教における慈悲の象徴とされているのです。
「生花は福をもたらし、枯花は死を示す」
お仏壇やお墓に花をお供えする時は、どんな花でもよく、故人が好きだった花や、なるべく美しく新しい生気あるものをお供えしましょう。
※トゲがあるバラなどはあまり仏花にはよくないといわれます
まとめ
いかがでしたか。
それぞれの持つ意味が少しでもわかれば、お参りをするときの気持ちも違ってきますよね。
今日の花はこんな気持ちで選びましたとか、お線香を焚いたらどうぞお召し上がりくださいと、故人と会話もできそうな気がしますね。