知床半島は元々、野生動物の楽園で、特にヒグマは知床の全域が生息地になります。
そこに私たちが入っていくわけですから、どこでも出会う可能性はあります。もし、知床半島をドライブ中に野生動物に遭遇したら・・かなり、びっくりするのは言うまでもありません。
また、対処を間違えると人身事故にもなりかねます。そこで知床半島での観光の時に、ヒグマに遭遇したり、もしもの時や、野生動物との関わりをどのようにすればよいか、などをまとめてみました。
知床峠を車で走行すると野生動物に沢山出会う!
知床半島は、多くの野生動物が生息しています。
キツネやエゾリス、エゾシカやヒグマなど、
オジロワシ、オオワシやシマフクロウ、
イルカやクジラ、アザラシやトドなど
このように絶滅危惧種の動物たちも、この知床にはたくさん集まってきます。それだけ、豊かで恵まれたパワフルな大自然ということです。
地元の人はもちろんですが、観光で何日か滞在したでけでも、野生動物にかなりの確率で遭遇します。
その中でも、知床峠に入ると野生動物に遭遇する機会がもっと増えます。ウトロ町と羅臼町を結ぶ知床横断道路です。
ワインディングロードと呼ばれ、晴れた日には羅臼岳や、国後島を目の前に臨むことができる大樹海ロードになります。そんな知床横断道路は数分走っているだけで、何頭ものエゾシカやキツネに遭遇し、知床横断道路が開通する5月頃からは、ヒグマにも遭遇することも多くなりなす。
普段なかなか見ることができない動物たちに、至近距離で遭遇してしまうわけですから、興味とワクワク感でつい見入ってしまうかもしれません。
ただ、この知床半島に生息する動物たちは、自然の食物連鎖を上手に活かし、人の手が加えられることなく自然のままの姿なんですよね。
その自然を守るためにも絶対にしてはいけないルールがあります。
知床峠で野生動物に遭遇したら?
知床横断道路を走行中に、もし野生の動物たちを見かけたら
私が知床峠を通る時、子ギツネが車に近寄ってきました。誰かが餌付けをしたためでしょう。車から離れようともしません。少しでもスピードが出ていたなら、引いていたかもしれません。もちろん車に近づくことによって、引かれてしまうこともあります。
一度の餌付けが、その動物にとっては命取りになるので絶対に、えさを与えないで下さい。
もし野生動物に遭遇してもこの2つを守れば、とくに問題は起きません。知床に住む動物たちと、地元の方々のためにもルールを守りましょう。
また、知床横断道路を通る時は、飛び出してくる動物もいますし、道路を塞いでいる動物もいます。スピードは絶対に控えて走行してください。
ちなみに、エゾシカに車がぶつかった場合、かなりの衝撃で、車が大破することもよくあります。エゾシカの命も奪い、搭乗者も命の危険があるので、スピードは控えめにして走行しましょう。
これは知床だけに限ったことではなく、道東でシカとの自動車衝突事故は非常に多いです。もし報道すると、毎日何件にもなるくらいの頻度です。夕暮れになると、シカの道路横断で立ち往生になる事も日常茶飯事ですので、注意して走行しましょう。
知床峠で熊に遭遇した場合は?
知床でヒグマに遭遇する確率は分かりませんが、知床に生息するヒグマ密度は、外国とは比較にならないくらいの高密度なのです。それもそのはずです。知床横断道路に出没するヒグマは、その場所が生息地で家なので頻繁に現れますし、ヒグマの行動範囲となります。
そこを、私たちが勝手に通っているわけですから、ヒグマとしてみては人間が住居侵入してくる形になり、大迷惑なわけです。
それにクマは、基本的には人間を餌としみていません。
逆に人間を脅威と感じています。
多くの場合は人間が怖くて、威嚇目的で攻撃するだけですから、車を壊してまで襲うことはまずありません。クラクションなどを鳴らせば、音にびっくりして逃げる可能性のほうが高いのです。
とにかく、車からは絶対に出ないようにし、ゆっくり走行させてその場を立ち去るようにしましょう。
ただ、最近では
走行中に道路を横断中のヒグマに出くわし、慌てて車を停止しましたが、ヒグマは逃げずに車に近寄り、ボンネットに乗っかかり中を見つめていました。
車の中でじっとしていたら、ヒグマは何事も無かったように去っていった・・・
このような話も出てくるようになってきています。車とかエンジン音とか人とかを、怖がらないヒグマもいるということです。
そこへ、季節が穏やかになると、自転車で知床峠を走ろうとする人がいます。いくらサイクリングがブームとはいえ、自転車での峠越えは非常に危険です。
ヒグマの怖さなどお構いなしなのかもしれませんが、ヒグマのためにも、地域住民の人のためにも、自転車での知床峠は絶対避けてもらいたいことです。
もちろん、国道にも熊が出ますし、特に河口付近はエサを求めて出没することが多い場所になります。
ソーセージの悲しい最後
これは知床五湖で実際の話ですが
ソーセージの悲しい最後
コードネーム97B-5,またの名はソーセージ。
初めて出会ったのは1997年秋、彼女は母親からはなれ独立したばかりだった。
翌年の夏、彼女はたくさんの車が行きかう国立公園入口近くに姿を現すようになった。
その後すぐ、とんでもない知らせが飛び込んできた。
観光客が彼女にソーセージを投げ与えていたというのだ。
それからの彼女は同じクマとは思えないほどすっかり変わってしまった。
人や車は警戒する対象から、食べ物を連想させる対象に変わり、
彼女はしつこく道路沿いに姿を見せるようになった。
そのたびに見物の車列ができ、彼女はますます人に慣れていった。
我々はこれがとても危険な兆候だと感じていた。
かつて北米の国立公園では、
餌付けられたクマが悲惨な人身事故を起こしてきた歴史があることを知っていたからだ。
我々は彼女を必死に追い払い続け、厳しくお仕置きした。
人に近づくなと学習させようとしたのだ。
しかし、彼女はのんびりと出歩き続けた。
翌春、ついに彼女は市街地にまで入り込むようになった。
呑気に歩き回るばかりだが、人にばったり出会ったら何が起こるかわからない。
そしてある朝、彼女は小学校のそばでシカの死体を食べはじめた。
もはや決断のときだった。
子供たちの通学が始まる前にすべてを終わらせなければならない。
私は近づきながら弾丸を装填した。
スコープの中の彼女は、一瞬、「あっ、」というような表情を見せた。
そして、叩きつける激しい発射音。ライフル弾の恐ろしい力。
彼女はもうほとんど動くことができなかった。
瞳の輝きはみるみるうちに失われていった。
彼女は知床の森に生まれ、またその土に戻って行くはずだった。
それは、たった1本のソーセージで狂いはじめた。
何気ない気持ちの餌やりだったかもしれない。
けれどもそれが多くの人を危険に陥れ、失われなくてもよかった命を奪うことになることを、
よく考えて欲しい。
このようなことになると、地元の方もつらい決断をしなければならなくなり、罪のないヒグマも命を落とさないといけなくなります。
そこに住むことはない、軽はずみな観光客のせいで、知床全体が辛い空気になってしまいます。このようなことにならない為にも、絶対ルールは守りましょう。
シレココヒグマ対策
http://www.env.go.jp/park/shiretoko/guide/sirecoco/rental/index.html
まとめ
自然環境が少なくなっている中、知床半島では地元住民の人々が精一杯保護するために、環境を守ってくれています。
私だけなら・・などの、一度の甘い考えが多くの犠牲を招きます。野生動物たちの家にお邪魔しに行く事を忘れずに、そして知床の自然を敬っている地域の人のためにも、そして楽しい旅になるように、ルールは守りましょう。